コラム
Column No.07

身心ともに”たくましい”人材を育成その7

石川 清一

身心ともに”たくましい”人材を育成その7

いい人材を輩出するには、教職員の“教育力”と“広報力”が大切だと考えています。一方で、学校には学校特有の「良い文化」もありますが、社会と遊離している「良くない文化」もあると思います。教員は、そうした文化の醸成に大きな影響を与える存在ですから、まず「教職員の教育」を徹底しているのが、当校の特徴といえます。

タイケン学園グループでは、教職員が「学校の常識」ではなく「社会の常識」を身に付けられるよう、お茶の淹れ方から和室への入り方といった礼儀作法から、電話応対など、社会の一般常識から徹底的に教育しています。また、社会の常識とは、ビジネスの世界での常識という意味もあります。

「日本ウェルネススポーツ大学」と言いまして、大学の理事長と学長は学校法人タイケン学園の創立者である父・柴岡三千夫が務めています。わたしは大学創設の担当者として、創設にかかわりました。

大学の認可を取ったのが3年前ですが、文科省からも「既存の当たり前の体育学部は要らないですよ」とクギを刺されました。わたしどもも、既存の大学とは違う教育を提供したいと考えていましたので、スポーツの教員養成と、スポーツビジネスの企画・立案から実行までを担える人材を育成させることを訴えました。タイケン学園グループには、大学勤務経験の人材がほとんどいなかったのですが、その中で「大学設置準備室」を設けて、設立に向けて活動し、準備期間3年で開学にたどり着くことができました。ゼロからの立ち上げでしたので、この経験は大きな財産になっています。

少子化による学生の減少という2020年問題を控え、大学経営は厳しさを増していますが、現・安倍政権のもと、大学改革が大きく前進しています。改革の内容は「学長の権限拡大」と「教授会の権限縮小」です。一部の大学では、教授会が経営面を含めた事案の審議まで行い、大学改革が妨げられている状況が起きていました。つまり、教授会が教員自身の保身のための労働組合化してしまい、経営の健全化を妨害する集団になっていたのです。そこで文部科学省は、教授会の役割を教育・研究開発関連の事案に絞り、人事や予算などの経営事項についての決定権は理事会・学長にあることを明確にしたわけです。これまでも教授会の実態が問題視されてきましたが、どの政権も手を付けずにきていたので、この問題が大きく前進したことは素晴らしいことだと思っています。

「たくましさ作り」というキャッチフレーズがございます。偏差値という意味での優秀さや学力ももちろん大事ですが、それだけでは社会に出てからポキッと折れてしまう若者もいます。そう考えると、身体だけでなく、ハートも含めた、打たれ強さやタフさが教育においても必要だと。ですので、当校では、教職員も含めて「怒られたら良いチャンス」だと、思考をプラスに切り換えるトレーニングもしています。

人間、怒られると、怒った人が怖くなるので、その人と距離を置くことが多いと思います。でも、できれば、その日のうちに「先生、先程は失礼いたしました。今度はこうしていきますので、またご指導ください」と言えるようにします。すると、怒ったほうも人間ですから「頑張れよ」と言える。すると、それで終わります。さらに、絆や信頼関係を深めるきっかけにもなります。ですので、まず教職員からそうしたトレーニングをして、教職員の教育を受ける学生も、そうした行動を取れるようにしていくことが大切だと考えます。勉強だけでなく、生きる逞しさをつける。それが当グループの教育の特徴です。